夏は多くの喜びをもたらします。人との集まりが増え、陽気な日差しがポジティブな気分を高め、家の中も活気づきます。特にインドア派の方には楽しい季節です。しかし、PCゲーマーにとっては挑戦の季節でもあります。高性能なグラフィックスカードやその他のハードウェアは、負荷が高いときに熱を持ちやすいため、冷却対策が重要です。選択肢としては、強力な空冷クーラーや追加のケースファン、水冷システム（オールインワンタイプの液冷クーラーなど）があります。

私個人の好みとしては、液冷クーラーは避けたいです。液体がPCの近くにあることに少し抵抗があり、たとえ非導電性であっても気になります。空冷クーラーはこれまで問題なく使えており、ThermalrightのPeerless Assassin 120 SEのような信頼できるモデルで温度管理が十分です。ただ、猛暑の時期には室内温度が上昇しやすく、CPUやGPUの温度も急上昇します。これがゲームや作業のパフォーマンスに影響を与えることもあります。

アメリカやイギリスをはじめ、多くの地域で夏が本格化してきている今、ハードウェアを快適に動作させるための冷却対策を検討することが重要です。通気性の改善や既存の冷却システムのアップグレードといった選択肢は、最も暑い季節においてもパフォーマンスを維持するのに大きな効果があります。

CPUの電圧を下げる（アンダーボルティング）ことで、温度を大幅に低減し、システムの効率を向上させることができます。BIOS設定の調整やファームウェアのアップデートによる問題を心配している場合でも、安心してください。ほとんどのマザーボードのBIOS設定は初心者にもわかりやすくなっています。マザーボードの取扱説明書を丁寧に守り、停電時にBIOSのアップデートを避ければ、安全に行えます。必要に応じて、BIOSをリセットしたりCMOSバッテリーを取り外したりすれば、変更を元に戻すことも可能です。

では、アンダーボルティングのメリットは何でしょうか？ CPUやGPUに供給される電圧を下げることで、これらのコンポーネントは熱をあまり発生させず、消費電力も少なくなります。その結果、動作温度が低くなり、静音性が向上する可能性もあります。

ただし、システムの安定性に関するリスクもあります。これらはしばしばCPUの個体差、いわゆる「シリコンロットリー」と呼ばれるものに起因します。あるプロセッサは低電圧・高クロックで問題なく動作しますが、他のものは同じ性能を得るためにより多くの電圧が必要になる場合もあります。自分のCPUの特性を理解し、適切な設定を見つけることで、パフォーマンスと熱管理の最適化が可能です。

最初は少し怖く感じるかもしれませんが、良いニュースは、これらの調整を行うのにBIOSにアクセスする必要がないということです — やった！さらに、データの損失や不安定性をリスクにさらさずにCPUを最適化する安全な方法もあります。

例えば、AMD Ryzen 7 5700X3Dプロセッサーの場合、GitHubで入手可能なPBO Tunerというツールを使ってアンダーボルティングを行うことができます。このアプリケーションを使えば、各CPUコアの電圧オフセットを調整できます。変更を加える前に、Cinebench R23でストレステストを行い、パフォーマンスと温度を確認しました。

まず、各コアの電圧オフセットを10減らし、その後徐々に下げ幅を増やしながら安定性を監視しました。各コアをマイナス30に設定したところ、結果は非常に良好でした。

アンダーボルティング前は、ストレステスト中に最大85°Cまで温度が上昇し、長期的なパフォーマンスにはあまり理想的ではなく、Windows 10のスコアは11,409ポイントでした。

アンダーボルティング後は、最大温度が75°Cに下がり（12.5％の低減）、パフォーマンスも向上し、Cinebenchのスコアは12,968に上昇（12.7％の向上）しました。

これらの改善はゲームプレイにも反映されており、カクつきの減少、フレームの滑らかさの向上、フレームレートのわずかな上昇が見られます。これは、以前は過熱防止のためにクロックを抑制していたCPUが、今ではより冷却され効率的に動作しているためと考えられます。

起動時にアンダーボルティング設定を維持するには、Windowsのタスクスケジューラでスケジュールされたタスクを作成できます。タスクスケジューラを開き、新しいタスクを最高権限で作成し、システム起動時とログイン時に実行するよう設定します。『操作』タブで『プログラムの開始』を選び、PBO Tunerのパスを追加します。

『引数の追加』欄には、各コアの電圧オフセット（例：8コアCPUの場合は「-10 -10 -10 -10 -10 -10 -10 -10」）を入力します。『条件』タブで全ての条件のチェックを外し、『設定』では『要求によりタスクを実行できる』を選択し、『タスクが既に実行中の場合は新しいインスタンスをキューに入れる』に設定します。

複数のストレステストや数時間のゲームプレイを行った結果、安定性に問題はありませんでした。温度の低下とパフォーマンスの向上により、この調整は非常に価値のあるものとなっています。特に、暑い夏の日には効果的です。