GPUの価格高騰と品薄でPCゲームの魅力が低下、家庭用ゲーム機人気が上昇

高額なGPUと転売業者の影響でゲーマーがコンソールに流れる理由

地獄のような炎に包まれたデスクトップパソコンとモニターのイラスト
(Image credit: Shutterstock / Top Vector Studio / klyaksun)
最終更新日 2025年7月29日

これまでの記事を読んでくださった方はご存知かもしれませんが、私にとってゲーミングの最適な選択肢はやはりPCです。ハンドヘルド型のゲーミングPCでも、ハイスペックなデスクトップPCでも、PCならではの高いパフォーマンスや先進的なグラフィック設定によって、最高のゲーム体験が得られると考えています。

また、PCゲーマーはコンソールユーザーに比べて自由度が高いのも魅力です。デジタルマーケットプレイスを利用することでゲームを安く購入できたり、オンラインマルチプレイも無料で楽しめたり、さらにMODでゲームを自分好みにカスタマイズすることも可能です。確かに、ゲーミングPCの自作には高額な費用がかかることもありますが、PlayStation 5 Proのようなハイエンドコンソールの価格(日本では約7万円〜8万円)を考えると、PC購入のために少しずつ資金を貯めるのも十分検討に値します。

とはいえ、最近は私の考え方にも変化がありました。それは、コンソールがPCよりも高性能になったからではなく、現在のグラフィックカード市場の状況が非常に厳しいためです。NVIDIARTX 5000シリーズAMDはRadeon RX 9000シリーズなどの最新GPUを発売していますが、これらをメーカー希望小売価格(日本円で約10万円以上になることも)で購入するのは非常に難しく、そもそも在庫自体がほとんどありません。

転売業者や一部小売店による価格のつり上げもあり、新しいミドルレンジ〜ハイエンドGPUを手に入れようとすると、どうしても相場以上の金額を支払うことになってしまいます。インテルもBattlemage Arc B570やB580などのグラフィックカードで市場に参入していますが、パフォーマンスやXeSSアップスケーリングといった機能面ではまだ他社に追いついていません。

そのため、コンソールゲーマーやこれからPCゲーミングを始めたい方にとって、PCへの移行を検討するチャンスはどんどん小さくなってきています。残念ながら、この状況がすぐに改善される見込みは今のところなさそうです。

冷却ファンとコネクタが付いた一般的なデスクトップPC用グラフィックカードのイラスト

GPUは高すぎる——今こそ変革の時

高性能グラフィックスカードは、近年の技術進化や性能向上により、どうしても高額になりがちです。最新のGPUであるRTX 5090のような製品は、ゲーム開発者がリアルで没入感のある映像体験を実現するための強力なツールとなっています。

また、DLSSやFSRといったアップスケーリング技術のおかげで、ミドルレンジのグラフィックスカードでも高解像度の描画が可能になりました。しかし、最先端のハードウェアが高価なのは理解できるものの、最近では性能が控えめな製品にも価格高騰の波が押し寄せており、手頃な価格での入手が難しくなってきています。

例えば、RTX 5090とRTX 5080は、それぞれ約299,800円と149,800円(税込、参考:2024年6月時点の為替レート)で販売されており、現行世代の中でもトップクラスの性能を誇ります。しかし、この価格設定は非常に高く、前世代のフラッグシップGPUであるRTX 4090(発売当時約239,800円)と比べても約6万円もの値上がりとなっており、その差額に見合う価値があるか疑問視する声もあります。

さらに、転売業者による買い占めや流通在庫の不足、ハードウェア自体の初期不良なども重なり、正規価格での入手はますます困難になっています。結果として、希望小売価格でGPUを購入すること自体が難しくなっているのが現状です。

ミドルレンジGPUの購入を検討する方も、同様の価格上昇問題に直面しています。例えば、AMD Radeon RX 9070シリーズも急激な値上がりが見られ、RX 9070 XTの国内価格は本来約89,800円程度のはずが、実際にはそれ以上で販売されるケースも増えています。

さらに追い打ちをかけるように、最近リリースされたPCゲームの多くが最適化不足により、せっかく高性能GPUを手に入れてもパフォーマンスの問題や致命的なバグに悩まされる事態も多発しています。

DualSenseコントローラー付きのPlayStation 5本体
(Image credit: Mohsen Vaziri / Shutterstock.com)

コンソール専用でゲームを楽しんでいる方には、こちらはあまりおすすめできないかもしれません。

私自身、PCゲームもコンソールゲームも楽しむゲーマーとして、多くのコンソールプレイヤーがゲーミングPCの自作に二の足を踏む理由はよくわかります。PCはより柔軟で自由なゲーム体験を提供してくれる一方で、適切なハードウェアを手頃な価格で見つけるのは難しく、結果的にコンソールの方が現実的な選択肢になることも多いでしょう。

せっかく理想のゲーミングPCを組み上げても、パフォーマンスの悩みが尽きないこともあります。コンソールは最高の性能を発揮するとは限りませんが、安定したフレームレートで一貫性のある信頼性の高い体験を提供してくれます。設定を何度も調整したり、トラブルシューティングに悩まされたりする必要がないのは大きな魅力です。

こうしたシンプルさが、Steam Deckのような携帯型ゲーミングデバイスが人気を集めている理由の一つです。特に「Deck Verified」などの機能があれば、すぐにゲームを選んで遊び始めることができます。Windows PCも似たような選択肢を提供していますが、最適化不足や新しいOSとの互換性問題などでパフォーマンスが不安定になることがしばしばあります。

結局のところ、ゲーマーが求めているのは“価格に見合った信頼できるハードウェア”です。現在のグラフィックボード(GPU)の価格では、ゲーミングPCが手の届きにくい存在になっているため、多くの人がPlayStation 5やXbox Series X|Sといったコンソールを選び続けるのも納得できます。

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